[STUDY ANDY]時計の健康診断

どこまでも奥深い、時計とカメラの世界。何かたったひとつのことだったとしても、それを知るか知らないかで楽しみレベルがぐんと変化するものです。

というわけでこのコーナーでは、私Andyが時計とカメラにまつわる事柄をご紹介。初めての方への入口に、ベテランさんはおさらいに。楽しく読んでいただければ幸いです。(ちなみに私は初心者です)

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第一回「時計の健康診断」

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人間には、心臓があって血液が回り脳や細胞が動く…ように、時計にはぜんまいがあってそれが巻かれることでテンプ→アンクル→…と、たくさんのパーツが動き、それにより1秒が決まっています。そしてこの「1秒」のために、なんと「1時間に数万回」もの振動をしているパーツまであるのです!
人体に勝るとも劣らないと言ってもいい程の、緻密な作りでできている時計。なのでやはり人間のように、ときには健康診断が必要です。

このような機械で行います。なんだか昔のスパイ映画に出てきそうなマシン。こちらに時計をセットしまして、心電図を測るように、時計の鼓動とでも言いますか、「機械の振動数」「振りの強さ」「バランス」「進みや遅れ」を計測していきます。

画面には4つの数字が表示されます。一番左は「日差」を表しています。

+であれば早く、マイナスは遅れているということ。この画面では「+7」になっているので、つまり「毎日7秒ずつ早くなっていきますよ」ということになります。

続いてその右側は「テンプの振り」を表示しています。250〜300位が調子の良い数値とされているので、こちらの時計は絶好調ですね。

さらにその右は「アンクル」というパーツの異常が無いかを確認する数字です。アンクルは左右に振れることで1秒を決める役目をしています。

そして一番右側の数字が表すものが「ビート数」。

最初の方にお話した、「ものすごい数動いて“時間のペースを作る機構”」が1時間で刻んでいるビートの数、です。この画面ではつまり「1時間で28,800回の振動をしています(1秒間では8振動)」ということ。こちらは時計によって異なりまして、他にも「18,000震動」「21,600振動」「36,000振動」などがございます。

以上4つの数字は“時計が刻む1秒”を決めるにあたっての重要な数値となります。そしてこれらは相関的に見ることが大切です。ムーブメントを組み上げる際も、このように時計の健康診断をする際も、この4つの数値が全てにおいての基準になっているのです。これら基準があることにより例えばオーバーホールの時期や、時計の状態を客観的に診断できるので、お客様にとっても分かりやすいですね。

ちなみにここだけの話、よく耳にする“3年に一度はオーバーホールしないといけません”説については絶対的な理由が無いとも聞きます。時計のタイプ、クロノグラフなのかクオーツ時計なのか三針なのか、によっても、また使用頻度によってももちろん状態は異なるので、定説に従うよりも、度々数値を測る方が安心と言えるかもしれません。

さて私は生粋の文系なので数字は苦手なのもののひとつなのですが、しかしこういったコンディションの数値化というものは、一目瞭然で気持ちの良いものですね。あとはこの数字を的確に分析してくれる、いわゆるドクターとの相性も大切なもの。部品の交換、オーバーホールのタイミング…、信頼できる“かかりつけ医”ならぬ“かかりつけShop”があるとやはり心強いものです。Enzoには、「中井ドクター」がおりますので何か気になることがございましたらお気軽にお問い合わせをどうぞ。

新コーナーStudy Andyでした!

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